シラカシ林の樹木

シラカシ
市内に広く分布する樫でかつて農具や大八車の材、高生垣や屋敷林にも利用されていました。
樹齢 150〜200 年のシラカシ林で後継樹は育つが林内が暗く日陰耐性のシダ類が目立ちます。
どんぐりを多産して雑木林内にも侵入します。
近年は緑地などにふるさとの緑として植栽もされます。


ウラジロガシ
葉の縁が波うち先端が細く尖るカシで市内の常緑林の構成種です。
果実は開花の翌年に2年がかりで熟し、どんぐりの生産量は少ないです。
自生範囲は高津区以北の台地や丘陵斜面の樹林内です。


アラカシ
丘陵や台地の乾燥した土地にも多く生える常緑高木です。
崩壊跡地に群生することもあります。
アラカシは鋸歯が葉の半ばより先につき幅も広い事で見分けます。
市全域で自生がみられ、緑化目的に植栽もされます。


シラカシ林のシダ植物
サイゴクベニシダ
サイゴクベニシダは、ベニシダの仲間で、葉の長さは50〜80pくらいになります。葉にやや光沢があり、明褐色の鱗片が美しいシダ植物です。
シラカシ林などの常緑広葉樹林の林床に生えます。
シラカシ林は関東地方の丘陵地のもともとの植生であり、高木層から草本に至るまで常緑の植物で占められています。
高木層はシラカシ、アラカシ、ウラジロガシなど、亜高木、低木層にはシロダモ、ネズミモチなど、草本層にはヤブコウジ、ヤブランなどの種子植物や、 イノデ、ベニシダ、サイゴクベニシダなど常緑のシダ植物が生えています。
このようなシラカシ林は雑木林とは違って、人の手が入らなければ林のすがたはずっと変わりません。開発が進み、社寺林、屋敷林、斜面林などにわずかに残る、貴重な自然になりました。
(左)シラカシ林、(右)サイゴクベニシダ



スギ・ヒノキ林


スギ
市内にはスギの自生は無くすべて植栽で、中部以北には小規模なスギ林が点在します。
林内は暗く、共生種は常緑種やシダ植物です。
スギは花粉病の元凶と嫌われ、初秋にはすでに雄花ができて、花粉予報の資料になっています。


ヒノキ
市内にヒノキの自生が無く、ヒノキ林も少ないです。
植林適地は“谷スギ、尾根マツ、中ヒノキ”といいますが狭い斜面ではスギとの混植林です。
林内土壌は貧養であり共生種も僅かです。
市内各地に境界木や生垣の植栽があります。実生は出るが若木は少ないです。


サワラ
ヒノキによく似るが葉の裏が尖り、手触りがごそごそとします。
サワラは成長が速く市内の公共用地に多く植えられました。
春に雄花と雌花が開き秋に球形の小さな実ができます。
市内に実生は出ますが少ないです。


アカマツ
市北部の乾燥した丘陵上部尾根にアカマツの単木がみられます。
樹皮が割れてはげ落ちるので幹の上部が赤褐色となり、葉もやや柔らかいです。
以前は建材や木炭材に利用されたが近年は少なくなりました。
公園や緑地の植栽林はよく育っています。


ウツボグサ
草丈30pほどの多年草で、乾燥したアカマツ林内や刈取草地にも育つ丈夫な植物です。
茎の先に花穂ができ紫の小花を次々に開きます。
高津区以北丘陵の路傍や草原にもみられるがやや少ないです。



スギ・ヒノキ林のシダ植物

スギやヒノキの植林地は谷戸などの湿潤な環境に多く、ベニシダ類、イノデ類、ヒメシダ類、リョウメンシダなどの生育が見られます。
現在は管理が行われなくなってヒサカキやシラカシなどの常緑広葉樹が交じっていることも多くなっています。
スギ・ヒノキ林は花粉症の原因としてよくない印象を持たれがちですし、年数の経ったスギヒノキ林は落葉広葉樹が主体の雑木林(二次林)に比べると薄暗く、好まない人も多いかもしれません。
しかし、スギ・ヒノキ林を好んで生育するシダ植物やほかの生きものも存在するので、生物の多様性の面からは貴重な環境のひとつといえます。


イワヘゴ
葉の長さ 80 p前後の常緑性のシダです。
羽片は細長く20〜30対にもなります。
山地林下の渓流の近くなど湿った場所に生えますが、川崎市では北部3区のスギヒノキ林などで稀に見られます。


イノデモドキ
葉の長さ50〜80cmになる常緑性のシダです。
葉柄下部の鱗片の辺が毛状に避けるのが特徴です。
山地林下に生えますが、川崎市では北部3区のスギヒノキ林などにきわめて稀に生育しています。
イノデに似ているのでこの名が付きました。


ホソバイヌワラビ
根茎はやや立ち上がって株をつくり、長さ50cmm前後の葉を広げます。
秋になると葉の上部に無性芽(小苗)を付けることがあります。
冬には地上部の葉が枯れる夏緑性のシダです。
山地林下のやや湿った場所に生え、川崎市では北部3区のスギヒノキ林などの谷戸底部にきわめて稀に見られます。


イノデ
長さ1mの深緑色の葉を広げます。「猪の手」の名は淡い茶褐色の鱗片に覆われた春の芽立ちの様子から名付けられました。
川崎市では川崎区以外の6区のやや湿った林下に普通に生育します。


アイアスカイノデ
黄緑色を帯びた葉は長さ 80p 前後で立ち上がって生えます。
川崎市では川崎区以外の 6 区のスギ・ヒノキ林などやや湿った林下に生育します。
イノデとアスカイノデの中間の形をしているとして名付けられました。



竹林

竹林
川崎の竹林を形成する竹はマダケ属のモウソウチクが殆どですが、マダケが見られる場所も少ないながらあります。
マダケ属は中国原産で、マダケは 10 世紀以前、モウソウチクは 18 世紀に、竹稈やタケノコを採取するために、日本に移入された外来種であると考えられます。
モウソウチク
川崎では、宮前区からタケノコが市場に出荷された時期もありました。
住宅市街地に接している竹林では春になると、タケノコ盗りとの攻防が起こる場所もあります。
近年、竹稈の利用は衰退し、管理されない竹林が増えています。
モウソウチクやマダケなどのマダケ属は、地下茎は伸び方が速く、周囲への侵入が著しいため、周囲の竹林化が問題になり、2015 年に産業管理外来種に指定されました。

(左)モウソウチクのタケノコ、(右)モウソウチク林

(左)モウソウチク、(右)マダケ

ベニカミキリ
幼虫は竹類の材を食べます。
成虫は春から初夏にかけて現れ、ミズキやクリをはじめとした樹花にも来ます。
昨今、放置された竹林が増えていることから、ベニカミキリを里山環境で見かけることが多くなりました。


ハイイロヤハズカミキリ
竹林付近、特に枯れ竹近くで観察されることが多いカミキリ
春に枯れ竹に産卵され、幼虫は竹の内部を食べて成長し、秋に羽化、そのまま竹の内部で越冬して、春に外に出てくる枯竹に生活するカミキリムシです。


タケトラカミキリ
枯竹で生活するカミキリムシです。


タケカレハ
幼虫は、タケ、ササ、ススキ、ヨシなどを食べるカレハガ科の蛾で、毒針毛を持つため竹林周囲の草地の管理などでは要注意毛虫です。


クロヤツシロラン
竹林では腐生植物のクロヤツシロランやキンランなどが見られる所もあります。


ニホンヤモリ
ニホンヤモリは建物やその周囲で普通に見られますが、竹林の枯れ竹の中で越冬していることもあります。
ニホンヤモリはシーボルトが新種として登録しましたが、原産地をユーラシア大陸とする外来種で、平安時代以降に入ったものと考えられています。

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