雑木林の林床の草本など

キッコウハグマ
花期10〜11月。草丈10〜20cm。
地面近くに広がる葉の形が五角形で亀甲に似ていると名づけられました。
花は白色ですが、細くとがった蕾のような形で、花を咲かせないで閉鎖花になるものが多くあります。
冠毛(綿毛)になります。


キクザキイチゲ
花期3月〜4月初旬。草丈10〜20cm。花がキクに似ていることから名づけられました。
山地に生えるキンポウゲ科の植物で、花弁はなく白い花弁状のものは萼片です。


シハイスミレ
花期4月。日当たりのよいところに生える小さめのスミレです。花が終わっても葉が大きくならない。
川崎では生育が希なスミレです。


トモエソウ
花期7〜8月。草丈1m。花がよじれて巴状に咲く、山地、丘陵に生育するオトギリソウ科の植物です。
川崎では生育は希です。


レンプクソウ
花期3〜5月。
草丈10〜20p。
林内、林縁に生える多年草。
この地下茎がフクジュソウに連なっているのを見た人が名づけたといわれています。
神奈川県内でも希な植物で、川崎でも丘陵北部林縁に小群生しています。


ウメガサソウ
花期6〜7月。
高さ10〜15p。
やや乾燥した林内に生える小さな常緑の小低木です。
川崎市内では丘陵林内で見つかりましたが、1か所だけで他での確認はされていない。


ミヤマカンスゲ
花期3〜5月。
草丈30〜50p。
雑木林の林内に生えるカヤツリグサ科スゲ属の植物です。
「深山寒菅」で山に生える冬でも緑色の葉がのこる常緑のスゲで、大きな株をつくります。
花をつける茎の先に雄花、下に雌花をつけます。
多摩丘陵北部の常緑樹林内ややや湿った林内などに普通に見ることができます。
※日本固有種


カラタチバナ
市内のヤブコウジ類は3種の自生があり、カラタチバナは百両の別名がある小低木です。
樹林内では樹高20pほどで冬につややかな濃緑色の葉を広げ7oほどの赤い実をつけます。
中原区など北部4区で自生が記録されています。

花期7月。
果実は11月頃赤くなり、翌年4月頃まで残る。
高さ20〜50p。
丘陵林内に生える常緑小低木です。
マンリョウ、センリョウに対し百両と呼ばれています。
多摩丘陵北部で見られますが、個体数は少ない。


ヤブコウジ
冬、緑の葉に赤い実をつける縁起植物で十両の別名があります。
高さ 10 p余りの小木本で、夏に目立たない白花をひっそりと着けています。
中原区以北の林内や林縁に自生があります


ヤブラン
暗い樹林中に自生し、夏から秋に青紫の小花をつけるユリの仲間です。
日照の少ない薮の中で開花結実し群生することもあります。
園芸種も民家や公園緑地に植栽され、良好な日照条件下でもよく育ちます。
自生の生育域は全市に及んでいます。


アスカイノデ
淡緑色で光沢のある葉は長さ 1.2 m前後に達します。東京都の飛鳥山から名付けられました。
一般的には海岸近くのやや乾いた林下にやや普通に生育しますが、関東地方を離れると珍しいです。
アスカイノデはベニシダ同様、スダジイ・タブ群落を標徴する種です。つまり現在川崎市にはスダジイ林やタブ林はありませんが、ベニシダやアスカイノデの群落があるということは、潜在的にスダジイ林やタブ林があったことを示しています。川崎市では中原区以外の6区で見られます。アスカイノデは普通に見られる種ではあるけれど、川崎の自然の多様性を表している種といえるのです。



雑木林の地面で見られる甲虫

アオオサムシ
森林の地表に生息する捕食性甲虫で、主にミミズを食べます。
市内では主に丘陵地に見られます。



雑木林の地面を徘徊し、死骸を食べる甲虫、糞を食べる甲虫

雑木林の掃除屋 シデムシ類、センチコガネ類
雑木林には多様な生物が棲息していますが、その死骸もあります。それらが、そのままの状態であったら大変なことになります。 死んだ生物を食べて分解してくれる生物が棲息しているから、雑木林は、私たちにとっても気持ちよい状態に保たれます。
市内の雑木林に棲息する掃除屋さんは、オオヒラタシデムシのほか、ベッコウヒラタシデムシ、ヨツボシモンシデムシなどです。
また、動物の糞を食べる昆虫が棲息していることも重要です。
センチコガネ類にも関心を持ってください。

オオヒラタシデムシ
丘陵の雑木林だけではなく、周辺の公園、住宅周りでも見つかります。
幼虫は三葉虫を想起させる形状をしています。
大型甲虫なので、公園などで見つけた子どもたちは捕まえて、自慢げに見せてくれます。


ベッコウヒラタシデムシ
ヒラタシデムシの仲間には胸部背面が茶色の派手なシデムシもいます。
市内では比較的自然度の高い雑木林で見られます。


ヨツボシモンシデムシ
モンシデムシの仲間は動物の死骸のほか、動物の糞も食べます。
また、子育てをする昆虫であることも知られています。


センチコガネ
獣糞を食べる甲虫のうち最もよく見られるのは、センチコガネです。
「センチ」という名は雪隠が訛ったもののようです。
色味は個体差があるようですが、金属光沢があって美しいと言う人もいます。


ムネアカセンチコガネ
最近まで糞虫として扱われていましたが、ムネアカセンチコガネは、アーバスキュラー菌根菌胞子果を食べる、特殊な生態の昆虫であることが分かりました。
棲息地は雑木林ではなく、明るい芝生地や畑などです。
基本的に夜行性なので、出会える機会の少ない昆虫です。



雑木林で見られるチョウ

ゴマダラチョウとアカボシゴマダラ
外来種アカボシゴマダラが頻繁に見られるようになりましたが、在来種ゴマダラチョウが健在する雑木林があります。
両者の食樹はエノキなのですが、アカボシゴマダラは高さ 30cm 程の実生でも生活しています。

(左)ゴマダラチョウ、(右)アカボシゴマダラ

ゴイシシジミ
碁石に似た斑模様のあるシジミチョウ。
幼虫は植物を食べず、笹や竹に発生するアブラムシ類を捕食する変わった生態を持ち、成虫もアブラムシの甘露をなめます。
主に丘陵地に生息しますが、最近激減しています。


クロヒカゲ
市街地から離れた丘陵地の林の広がる地域で見られるヒカゲチョウの仲間で日陰を好みます。
似た種でヒカゲチョウがいますが、こちらは平地の樹林などでも見られます。
いずれも数が減っているチョウで、成虫のエサとなるクヌギ類の樹液や熟した実などのある生息環境を大事にしたいです。
幼虫はアズマネザサ、メダケなどの葉を食べて育ちます。


ムラサキシジミ
林のあるところでは、特に秋から初冬にひなたぼっこをしている姿をわりと見かけます。
成虫で越冬します。翌年の春に産卵・孵化し、幼虫はアラカシ、クヌギなどの芽や柔らかい葉で育ちます。
年に3回くらい世代交代します。
南方系のチョウですが、いつのまにか関東南部でも普通となってきました。

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