多摩丘陵の雑木林

ハ)雑木林の昆虫


ゼフィルス
幼虫が樹木の新芽・葉を食べる樹上生のシジミチョウをゼフィルスと言います。
ギリシャ神話の西風の精を語源として、小さいが美しい翅を持つシジミチョウの一群をゼフィルスと呼びます。
川崎で見られるゼフィルスは、ウラナミアカシジミ、アカシジミ、ミズイロオナガシジミ、ミドリシジミ、オオミドリシジミ、ウラゴマダラシジミの 6 種です。
一年一化、卵越冬で、食樹の萌芽に合わせて孵化し、新葉を食べて、成虫になります。

ウラナミアカシジミ
コナラ若齢林が好きな棲息環境で、関東地方では、伝統的な萌芽更新で管理されていたコナラ薪炭林が広がることで増加し、こうした樹林管理がされなくなることで衰退してきたと言われています。


アカシジミ
幼虫がコナラ、クヌギなどのブナ科樹木の新芽を食べるゼフィルスです。
初夏の雑木林では、樹冠の表面を高速で飛翔するアカシジミに出会えるかも知れません。


ミズイロオナガシジミ
幼虫がブナ科樹木の新芽を食べるゼフィルスです。
棲息環境は、この中では最も広く、シラカシ林などのある街区公園などでも出会えることがあります。




雑木林で見られる甲虫

ヤマトタマムシ
川崎には老熟した雑木林が残っている地域があり、夏になると、今でもタマムシに出会うことができます。
【RD】県要注意種


キイロトラカミキリ
幼虫はコナラなどの広葉樹の材を食べ、成虫は初夏に出現し、花に来ることもあります。
雑木林が人間に利用されていた時代は、薪などに普通に見られるカミキリムシでしたが、現代も緑地の間伐材などに産卵にやってきます。
市内では主に麻生区で確認されています。


カブトムシ
子供たちが好きな馴染みの甲虫です。
成虫はクヌギ・コナラなどの樹液を主なエサにします。
幼虫は落葉樹の落ち葉が溜まり腐り、腐葉土となった土を食べて育ちます。
従って、生息を維持するにはクヌギやコナラが多い林と、腐葉土が培われる手を入れすぎない林床も必要となります。
環境が整えば数多く育つ昆虫です。


ノコギリクワガタ
カブトムシと並んで子供たちに人気の、樹液に来る昆虫。
クワガタムシの幼虫は、腐葉土でなく朽木で育つので、大型の本種は、市内では自然度の高い雑木林がある場所に見られます。
夜行性で、昼は木の洞・根際などにひそんでいることが多いです。


ヒゲコメツキ
立派な触角を持ったコメツキムシですが、これは雄だけで、雌は触角が櫛状でなく地味な形です。
市内では北部の丘陵地に生息し、灯りに飛んでくることもあります。幼虫は樹木の材に潜り、カミキリムシなどの他の甲虫幼虫を捕食していると推定されます。


ヤマトフキバッタ
成虫になっても短い翅しか持っていない、飛ぶことができず、専ら跳ねるだけのバッタ。
全国的には山間部を中心にさまざまな種類が分化し、同定も難しいのですが、多摩丘陵東部に分布するのは本種だけです。
市内では北部の森林に局所的に生息し、成虫は夏を中心に出現します。
確実に見られるのは、近くに湿地がある場所です。


オオスズメバチ
世界最大のスズメバチ。
市内では主に北部の丘陵地に生息し、土中に巣を作ります。
夏の終わりから初秋にかけて、巣が成長して働き蜂が増える時季に攻撃性が高まります。
晩秋にはサザンカなどの花で、オス蜂(女王・働き蜂と異なり、毒針は持っていない)がやってくるのを見ることができます。
写真は樹液に来た女王。

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