多摩川の植物、昆虫など

多摩川中下流域のヤナギ
ヤナギ
多摩川中下流の河原には、所々にヤナギ類が生えています。


タチヤナギ
樹高10m以上にもなる落葉高木です。
成長の速い木で多摩川の川岸に列になって育っています。
丘陵の谷間の湿った場所でもみられます。


コゴメヤナギ
樹高が10m以上になる落葉高木で細長い葉が特徴です。
多摩川の川岸などに点々と生え、成長の速い樹で、川の出水時に護岸の役目も果たすようです。


コムラサキ
幼虫はヤナギ類の葉を食べるので、樹木の分布から主に多摩川で見られます。
成虫は年 3 回出現し、樹上を飛ぶ姿が見られますが、なかなか低いところにはおりて来ません。
写真はヤナギから樹液が出ていて偶然撮れたものです。
【RD】県絶滅危惧IB類


多摩川中下流の河畔林
エノキ林
多摩川中下流の河畔には、エノキの河畔林が形成されていたりします。


エノキ
高木は高さ 20 m、目通り直径 100 p以上にもなる高木落葉樹です。
春に咲く花は目立たたず、秋に 6〜7 oの実をびっしりとつけます。
エノキの実はやや甘く 21 種類の野鳥に採食された記録があります。
街道の里程を示す樹に使われ、今でも榎木町に名が残っています。
7 区全域でみられます。


オニグルミ
多摩川の河川敷や丘陵の谷部に自生している高木です。
実生は長さ 70 cmにもなる大きな複葉を広げ成長が速いです。
成木は盛んに実をつけ、種子の発芽もよく、生育分布を広げています。
市内 7 区で特に川沿いに多くみられます。


クルミハムシ
オニグルミの葉を食べる平たい体のハムシで、餌樹木の関係から、主に多摩川に生息しています。
葉の上で蛹になり、写真のようにぶら下がる特徴があります。


ノブドウ
木本のつる植物で落葉樹です。
つるを伸ばし、巻きひげを使い他の植物を被います。
実はぶどう状とは異なり、青や白の妙な色です。
葉に深い切れ込みがあるのを見かけます。
市内の林や草地に普通にみられます。


多摩川中下流の河原
ノイバラ
花期 5〜6 月。
よく枝分かれした茎は 2 mくらいになります。枝先に香りのよい白い花をたくさんつけます。
秋に赤い果実を多くつけます。
多摩川の河原、丘陵の林縁などで見られます。 
園芸用品種のバラの台木にされています。


ハマダイコン
花期4〜6月。
海岸の砂地に生育する植物ですが、臨海部の埋め立て地や多摩川河口から中流域の河原、土手などに群生しています。
花弁は 4 枚、紫色をしています。根は大きくならず、硬く辛く食用にはなりません。


セイバンモロコシ
花期8〜10月。
地中海沿岸原産外来種。
高さ80〜200p。
戦後関東地方で見いだされ、全国的に急速に広まった。
地中に長い根茎をのばして増え、大群落を作っています。
多摩川の土手は一面この種で覆われています。
その他路傍、空き地などにも生えています。
※外来種


アレチハナガサ
花期7〜9月。
南アメリカ原産外来種。
1957年ごろから定着が記録されています。
草丈60〜120p。茎は直立して4稜あり、茎の先で分枝し穂状花序を多数つけます。
多摩川の河原や道端、空き地などに多く見られます。
※外来種


アレチウリ
花期8〜9月。
北アメリカ原産外来種の大型のつる植物です。
1952年に静岡で見いだされ、強い繁殖力で広まりました。
多摩川の河川敷に大群落を作っていましたが、一時駆除活動が行われました。
大群落は少なくなりましたが、まだ多摩川の河原や市街地の藪などに生えています。
花の跡毛とトゲのある果実をつけます。
※特定外来生物


ヘラオオバコ
花期5〜8月。
ヨーロッパ原産外来種。
江戸時代末期に入ってきたといわれています。
花の形がへら型なので名がつきました。
多摩川の土手に群生していますが、その他空き地、路傍、畑などいたるところに生えています。
葉はすべて地面近くに集まってつくの根生葉で、葉の間から茎をのばし円柱形の花序を出しています。
繁殖力が強い。
※外来種


オオカワジシャ
花期5〜7月。
ヨーロッパ、アジア北部原産外来種。
水辺を好み、多摩川などで大株になり増えています。穂状の花序をだし薄紫色から
白色の花をつけ、花はきれいですが繁殖力が強い。
※特定外来生物


イガオナモミ
花期7月〜10月。
原産地は不明ですが、アジア、アメリカ、オーストラリアに帰化している外来種。
草丈50〜100p。
果苞に密についたトゲにさらに鱗片状の毛があり触ると痛い。
主に多摩川の河川敷、土手に生えています。


メリケンガヤツリ
花期8〜10月。
熱帯アメリカ原産外来種。
カヤツリグサ科。
草丈30〜80p。
日本には1950年代に入ってきたといわれています。
種子と根茎で繁殖しています。
河原、水辺、畑、溝などに生えています。


多摩川中下流の河原の昆虫
多摩川の氾濫原である河原にはトノサマバッタ、クビキリギスなどが棲息しています。


トノサマバッタ
トノサマバッタは河原などの日当たりが良く、食草となるイネ科植物の多い草地に棲息しています。


クロトゲハムシ
体長5ミリ未満の小さな甲虫ですが、特徴ある形をしています。
ススキやオギの葉を食べ、市内では主に多摩川に見られます。


ヒガシキリギリス
よく知られている昆虫で、夏の暑い時季に鳴き声を聞くことができますが、藪の中に隠れているため、姿を見つけるのは簡単ではありません。
市内では主に多摩川に生息し、埋立地にも生息地があります。
最近日本の東西で2種に分かれることが明らかになったため、関東に生息するものはこの名がついています。


ジャコウアゲハ
黒っぽいアゲハチョウの中では比較的細長い翅を持ち、緩やかな飛翔をするのが特徴です。
幼虫の食草はウマノスズクサで、これが生える多摩川の堤防周辺では比較的確実に見られ、耕作地脇の草地にも生息しています。
写真は雄で腹部が赤くなり、雌は雄と異なり翅がより白っぽい色をしています。


ブタクサハムシ
近年急増している北米原産の外来種。
主に多摩川の草地で、オオブタクサの葉についているのが観察できます。


カワラバッタ
植物があまり生えていない、石や砂におおわれた河原に住んでいるバッタで、体の色も石にそっくりです。
川崎では近年の記録がなく絶滅したと思われていましたが、2007年の大洪水により上流から流されてきたと考えられる個体が、その後数年市内で発生しました。
近年外来植物の繁茂により生息環境が変化して再び減少し、確認が難しくなっています。


カワチマルクビゴミムシ
河原の砂礫地に生息する捕食性甲虫で、ふだんは石の下などに隠れています。
黒くて平たい体に、黄褐色の縁取りがあるのが特徴です。


ギンイチモンジセセリ
幼虫はススキの葉を食べ、成虫は年3回発生します。
春に出現する個体には、写真のように翅に銀色の筋が現れるので、この名があります。
草原性の種類で、信州などでは高原に生息しますが、東京周辺の河川草地でかなり見られるのは特徴的なことでした。
ここ10年の間にかなり少なくなりましたが、原因ははっきりわかっていません。


多摩川中下流の河原で見られる野鳥
セグロセキレイ(大きさ21p)
多摩川中流域、麻生区黒川でほぼ一年中見られます。でもその他の地域ではほとんど見られません。
「ジジッ」と濁った声で鳴き波状に飛びます。
■日本固有種


モズ(大きさ20cm)
留鳥ですが秋から冬によく見かけます。
多摩川の河川敷に多いのですが、平地の畑などにも来て「キイーキイキイキイ」と「モズの高鳴き」が聞かれます。
長い尾をゆっくり回すのも特徴です。
【RD】減少種

(左)オス、(右)メス

チョウゲンボウ(大きさオス33p、メス38p)
留鳥で、ハヤブサの仲間です。
多摩川の河川敷や田畑の上空でホバリングし急降下でカマキリやバッタなどの昆虫や小動物を捕食します。
ビルの屋上やテレビアンテナに止まっていることもあります。


ホオジロ(大きさ16p)
雑木林の林縁や畑、多摩川中流域などで留鳥です。
時々木の天辺近くでさえずっているのが見られます。
河口域では冬に見られていたのですが、最近あまり見かけなくなりました。

(左)オス、(右)メス
夏の多摩川中下流の河原の砂礫地
コチドリ(大きさ16p)
夏鳥として多摩川などの砂礫地で子育てをします。
稀に麻生区などでも観察されます。
目の周りの黄色いリングが特徴です。


多摩川中下流の河原の草地
キジ(大きさオス80p、メス46p)
留鳥です。
多摩川などの草地で見られます。
稀に麻生区黒川でも観察されました。
桃太郎の民話に登場し、日本人になじみの深い鳥で、国鳥です。
オスは目立つ色ですが、子育てを行うメスは地味な色合いです。
オスの「ケンケーン」という鳴き声は有名です。
近年少なくなっています。


ヒバリ(大きさ17p)
留鳥です。
多摩川中下流、河口、北部地域の草地などで見られます。
「チュリュチュリュ」など複雑な声でさえずりながら上を飛ぶので、いることがわかります。
冬になると「ビュリュッビュリュッ」と地味な声になります。
短い冠羽があります。


セッカ(大きさ13p)
スズメのような色をした鳥です。
「ヒッヒッヒッヒッ」と鳴きながら上がり、「チャッチャッチャッチャッ」と鳴きながら下降します。留鳥ですが、冬はなかなか見つかりません。
以前は河口域でもよく声を聞いたのですが、近年は減ってきたようです。


冬の多摩川中下流の河原の草地
ベニマシコ(大きさ15p)
冬鳥です。
多摩川中流や稀に麻生区黒川などに来ます。
「フィッフィッ」など小さな声で鳴き、セイタカアワダチソウ、アレチハナガサなどの草の実を食べます。


多摩川中下流のワンド等の滞留水
チョウトンボ
水草が豊富な池に生息する種類で、かつては市内の丘陵地に記録がありましたが、近年多摩川のワンドで確認されるようになりました。
幅広い特徴ある色の翅を持ち、蝶のようにひらひら飛ぶことから、この名がついています。


コフキトンボ
流れのない淀んだ水域に夏に現れ、ガマやヨシの生える場所を好みます。
一見シオカラトンボに似ますが、雌も白粉を吹くこと、胸部の側面に特徴ある縞模様があること、体型もやや小ぶりでずんぐりしていることなどで、区別できます。


多摩川中下流の水域
サナエトンボ科
多摩川中流域ではホンサナエ、ミヤマサナエ、ダビドサナエ、オジロサナエ、オナガサナエ、コオニヤンマ等が羽化をしています。
上流部から流れてきたヤゴにとって羽化に適した環境があります。

オナガサナエ
オナガサナエは、主に平地や丘陵地、低山地の清流に棲息し、大きな河川の上流下部から中流域にもみられます。
川崎では多摩川中流域に棲息し、出現は 5〜10 月ですが、羽化直後の未熟個体は羽化水域を離れて林間の樹梢で暫く生活するので、生田緑地など、多摩丘陵の樹林で見られることもあります。
日本特産種

参考資料)原色日本トンボ幼虫・成虫大図鑑(北海道大学図書刊行会)
オナガサナエの羽化
初夏の夜間に羽化するオナガサナエ。コンクリートの岸辺で翅を伸ばしたトンボは、やがて闇の中に旅立って行きます。
多摩川では数多く羽化殻が見られるトンボの一つで、最近麻生区の鶴見川水系でも羽化していることがわかりました。


コオニヤンマ
日本産サナエトンボ中最大の種。
主に丘陵地から山地を流れる河川の上流ないし中流域に棲息します。
川崎では多摩川中流域に棲息し、出現は 5〜10 月ですが、羽化直後の未熟個体は羽化水域を離れた樹林に移動して暫く生活するので、生田緑地など、多摩丘陵の樹林で見られることもあります。

参考資料)原色日本トンボ幼虫・成虫大図鑑(北海道大学図書刊行会)

ハグロトンボ
ハグロトンボは翅の黒い大型のカワトンボ科のトンボです。
主に平地や丘陵地のヨシやミクリなどの挺水植物やエビモ・クロモ・キンギョモ・セキショウなどの沈水植物が繁茂する緩やかな流れに棲息します。
川崎では多摩川中流域から二ヶ領用水など、これらの挺水植物や沈水植物が分布する水域に棲息し、出現は 5〜10 月です。
成虫は水路を辿って遡上することもあるため、生田緑地など、丘陵樹林地で出会うこともあります。

(左)ハグロトンボ(オス)、(右)同(メス)
参考資料)原色日本トンボ幼虫・成虫大図鑑(北海道大学図書刊行会)

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